
表紙買いした1冊。
2007年に買って何回も読んでいる本です。
不思議なことに、読む時の自分の状況とかで感じ方が変わります。動物が主人公の7つの短編集です。
頭のうちどころが悪かった熊の話 感想
「BOOK」データベースより
動物世間のよもやま話に奇妙で不思議な現実がみえ隠れ、これって、私たちのこと? 生き物世界の不条理がキュンと胸にしみる、シュールで痛快、スパイシーな7つの寓話集。
シュールな大人の童話という感じ。
表紙の絵がかわいいのもあり、ほんわか系を想像していると...いい感じに裏切られます。
「ないものねだりのカラス」という、カラスがシラサギに憧れる話があります。
カラスはとても天邪鬼で、本当は仲良くなりたいのに口を開けば悪口を言ってしまう。 だけど...みんなと仲良くなれるように努力します。
小鳥のさえずりを胸いっぱいに吸い込めば、きれいな明るい言葉となって口からあふれるかもしれないと思ったのに...にぎやかで華やかなおしゃべりは、実は心からの言葉とは違っていて。
それでも、シラサギの優しさに触れるのですが、皮肉で儚い衝撃のラストです。
このお話を人間に当てはめてみてもしっくりきました。
その時々で気持ちは変わってしまうのかもしれませんが、ないものばかりを追い続けると、本当に大切なものが見えなくなってしまうのかもしれません。
「ヘビの恩返し」というお話では、ヘビのお父さんは”カコの実”を食べてしまい過去の事しか考えられなくなります。
そして「過去の俺は、ぼうや(息子のヘビ)が小さい頃、ちゃんと構ってやれなかった。でも、あの日のぼうやはもうこたえてくれない」と嘆きます。
お母さんヘビは”ミライの芽”を食べてしまい未来の事ばかり考えます。
そして「過去には戻れない。けれど、未来に向かっていくことはできるの。未来ってなんて素敵なんでしょう」と明日に向かって行ってしまいます。
そして、息子ヘビは「過去も未来も本当のボクじゃない。今のボクだけが本当のボクなんだから今のボクとちゃんと向き合ってほしい」とお父さんヘビに言います。
いろんな捉え方があると思うのですが....親という立場に立ってみると、子供が小さい頃は、希望を込めた未来をたくさん想像し、いざ子供が大きくなると「あのときにもっと、こうしてあげればよかった」っと心から思います。
子が巣立った私は、写真に写る小さな小さな靴さえ異常なほど愛おしく感じたりします。
でも、本当に大切なのはやはり「今」なんですよね。
だから過去から学び、未来につなげる「今」を大切に生きていきたいと思います。
"意味なんてもの、もともとないんだ。生きていくのに、意味なんていらないんだ。 ただ生きているだけでじゅうぶんなんだ。"