
第138回(2007年下半期)芥川賞受賞作です。
三人の登場人物の身体観と哲学的テーマが鮮やかに交錯し、魅惑を放つ作品です。
乳と卵 感想
「BOOK」データベースより
夏の三日間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。日本文学の風景を一夜にして変えてしまった傑作。
大阪からやってきた姉の巻子と、その娘である緑子。
三十九歳の姉は豊胸手術を目論んでいて、思春期の緑子は言葉を発しない。
そんな2人と「わたし」の不可思議な夏の三日間が過ぎてゆく...
私の母と「巻子」が重なり、思春期の時の私と「緑子」が重なった。
思春期の娘にとって、母親が「女」になること...それはそれは恐怖で、悍ましい。
そして悍ましいと思っている ”目の前の女(母)” に、自分の体がどんどん近づいて行くのを汚らわしく思う。
そういう気持ちが、とてもよくわかる。
ドロリとしたこの物語の中に、語り部である「わたし」がいてくれたことで、緑子は少しでも救われたんじゃないかと思う。
女は大変であり、とてもめんどくさい。
そして女は生まれる前から、体の中に卵をたくさん持って生まれてくる。
それを「素敵だ」と思える人と、思えない人の違いはなんだろう。
色々と思う事はあるけれども、思春期の緑子もいつか...女でよかったと思えるようになって欲しい。
「乳と卵」それは女性を象徴する言葉だなぁと改めて思った。
ネバネバとした部分もあるけれど、読後は悪くない。そんな1冊だった。