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艶やかな表現と”美しく朽ちてゆく”ということに心をつかまれる『花に眩(くら)む』| 読書感想文

第9回 女による女のためのR-18文学賞の読者賞受賞作品。彩瀬まるさんのデビュー作です。私は電子書籍で購入。短編小説なのですぐに読めます。

 

著者の原点にして頂点の作品集、とも言われる『花に埋もれる』にも収録されています。

 

花に眩む 感想

 

「BOOK」データベースより

私の肌には赤い花が咲く。彼女と出会った夜も、彼の去った朝も――。出会った次の日、しまは私のアパートに転がり込んできた。しまといると、まっすぐに求められる。しまに求められると、なにもかもを叶えてあげたくなる……。

 

登場人物は 3人。主人公 ” はな ”と ” しま ” そして ” 高臣さん ”

 

それぞれの肌には、それぞれの花が咲く。それは美しく華やかなものではなく....とても素朴な花。

 

遺伝子とともに受け継がれるその植物は....人間の肉に根を張り、その個体の免疫力を上げて共生し、年月とともに根を深め...やがて心臓に浸食を果たしその個体を殺す。

 

それは残酷でも物騒なことでもなく、彼女たちの老化であり死なのである。

 

 

なんだか少し不思議な物語なのだけれど、違和感なく読み進めることが出来る。

 

そして、少し切なくとても美しい。

 

肌から生える植物の芽をぷつぷつと抜く描写はとてもリアルで、自分が抜いているような錯覚さえ起こしてしまった。

 

私も若い頃、自分の体に生えた毛を時間を忘れてぷつぷつと抜いていた。

 

別に毛が許せなかったわけではなく...ぷつぷつと抜くときの ”チクリ” とした痛みが少し心地よかったからだ。

 

同じ理由でピアスもたくさん開けた。

 

チクリとした痛みは、若かりし頃の私に「生きていること」を改めて感じさせてくれるような気がしていた。

 

 

主人公の ”はな” が生きている世界でも、今わたしが生きているこの世界でも...みな、どこか寂しさや満たされないものを抱えて生きている。

 

* この本の感想を書きました *

作 者:彩瀬まる 作者:彩瀬まる
発売日:2010年12月03日

読了日:2021年08月13日